映画「ゆれる」を観た。
(原案・監督・脚本:西川美和、キャスト:オダギリジョー、香川照之、他)
――あの橋を渡るまでは、兄弟でした――
自由奔放に東京で好きな仕事をし、好き勝手な生活を送る弟(オダギリジョー)。
田舎に残り、家業であるガソリンスタンドで働く、実直だけが取り柄のような兄(香川照之)。
母親の一周忌のため、実家に戻ってきた弟は、幼馴染だった女性に再会する。
ヨリを戻す2人。
ところが、その女性には兄も思いを寄せていた。
3人でドライブに出かけた先の渓谷にあった吊り橋から、女性が落下する。
吊り橋の上に残された兄。
事故だったのか? それとも兄が突き落としたのか?
弟は真相を見ていた。
**この先、ネタバレになってしまうので、これから観ようと思っている方は読まないでくださいね**
スポンサーリンク
なにが真相なのか?
上演中、引き込まれるように観ていた。
巧みな心理描写、誰の気持ちもみんなわかる、っていうふうに感じていた。
ところが、観終わった後、納得しないものを感じた。
私の理解力が低すぎるせいかもしれませんが、結局、一番の肝心要である、「真相」がよくわからなかったのだ。
兄は突き落としたのか? 突き落とさなかったのか?
弟の証言は真実だったのか? 嘘だったのか?
兄がついていた嘘というのは、なんだったのか?
観終わった時にはこう思った。
弟の証言は嘘(つまり兄は突き落としていない)。
弟はただ保身のために、嘘をついた。
そのため兄は有罪になった。
これはつまり、アホでチャランポランな弟と、バカみたいに人がいい兄のお話なのだろうか?
無罪の兄を有罪にしてしまう弟、それを受け入れる兄……、こんな展開、普通に考えて、おかしすぎる。
そんなに浅い映画なの?
納得いかない私は、本屋さんでノベライズをパラパラと立ち読みした。(買えってば;)
ノベライズ読んで、納得!
そうか、そうだったのか!
そういうことなら、納得できる。
浅くなんてない、それぞれの心情がよくわかる、素晴らしいストーリーだ。
**更にネタバレになります。**
小説を立ち読みした結果の解釈
兄は突き落としたのだ。
弟はそれを見ていた。
でも、兄を思う気持ちからというより、自分が殺人犯の弟になりたくないという気持ちから、事故ということにしようと兄を説得する。
兄は、そんな弟の本心に気付いていた。
兄は弟に言われたとおり、証言する。
兄がついた嘘というのは、これだ。 弟に指示された「嘘」。
弟の計画通り、兄は無罪になりかける。
ところが、兄弟は心理的にぶつかりあい、弟はいきなり「真実」を語りだしてしまう。
「兄は嘘をつくような人じゃない。本当の兄を取り戻したい」と。
弟の証言により、一転して兄は有罪になる。
弟は殺人犯の弟、になる。
兄弟は互いに真実を背負ったのだ。
刑期を終え、兄の出所の日となる。
最初はためらいながらも、迎えにいく弟。
道を歩いていた兄を弟は見つけて、追いかける。
声をかけても届かない。必死に叫ぶ。
兄の目が弟を認める……
余韻が残る、素晴らしい映画でした。
役者さんたちの熱演にも拍手。
でも正直、映画のほうは、もうちょっと説明があるとわかりやすかったかな。
それがないのが、この映画の良さにつながっているのかな。
ん?
あとは、そう、兄の腕の傷の謎が残ってますね……
やっぱり、ノベライズを買って、じっくりきちんと読みたいと思います。
そうしたらもしかして、全く解釈が変わってしまうかも!
読み終えたら、また書きますね。
その後、本を読んで、私の↑解釈が間違っていたことに気付きました;
すみません<(_ _;)>
解釈し直し、書き直しました→ 小説「ゆれる」
更新報告はtwitterから!フォローお願いします!
Follow @Ruca_moon
スポンサーリンク
2006年7月10日 at 5:01 AM
ゆれる@アミューズCQN
アングルは斜め上から、しかも傾いて、時にグラグラと揺れ、緊張が続く。全ての映画、その傑作に当てはまるとは断言しないが、映し出されたものから緊張感が醸されて、保たれると見応えは増長する。
兄の稔は山梨の実家に残り、家業を継いだ。弟の猛は家を出て、東京でカメ…
2006年7月10日 at 5:03 AM
はじめまして。
コメント&TB失礼します。
ノベライズ気になります。
果たして僕は本作はちゃんと理解できていたのだろうか…
結局、真実は「弟の嘘」だとばかり。
ぼ、僕も買おうかな…^^;
2006年7月10日 at 11:20 PM
はじめまして。^^
コメント&TB、ありがとうございます!
1日経ったら、果たして私の解釈は正しいのだろうかと不安になってきました;
で、本、買ってきちゃいました。笑
これをじっくり読めば、きちんと理解できるはず、です^^;
私も映画を観た時は弟の証言は嘘だと思ったのですが、
それだと証言をする弟を見つめる兄の微笑みが不自然のような気がするんです。
「やっぱりおまえは嘘つきだな!」
っていう微笑みだというよりも、
「証言してくれてありがとう」
の微笑みだったような気がするので。
でも「ありがとう」の微笑みだとしても、解釈は1つだけではないですよね……
と、とりあえず、小説読んでみます。
2006年7月31日 at 11:36 PM
「ゆれる」心地良い揺れのなか映画の魔法にかかる
「ゆれる」★★★★
オダギリジョー、香川照之 主演
西川美和 監督、2006年
眩しいくらいの緑の反射を受けて
ゆれる吊り橋。
大いなる自然のなかで、それはあまりに
頼りない。
人の命を預けられるのか不安になる。
くだらないものや実験的な映画を
わざ……