「僕の殺人計画」(やがみ著)を読みました。

実は、結構ミステリー好きなわたし。

ミステリー物は、いつも結末をあれこれ推理しながら読み進めます。

今回ももちろん、あれこれ推理しながら読了したのですが、敢えてネタバレはしないように、読みながら推理した内容についてつづりたいと思います。



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身構えて読み始める

「読み始める」という見出しの冒頭にいきなり「読み終えた」ときの感想を書くのもなんですが、
この作品、一回読んですんなり理解できるものでしょうか??

語り手も順不同に変わるし、時系列も前後するし、
一通り読み終えた後、また読み返したくなりません? わたしは読み返しました。

で、話を本題に戻しますが、まず「身構えて」読み始めました。

なぜなら、無防備に読んでいると見逃してしまう伏線が隠されていると思ったからです。

読み終えてから「まさか、そういうことだったのか!」というような。

なので、自称結構ミステリー好きなわたしは、推理脳に切り替えて、読み始めました。

「推理脳」というのはつまり、すべてを疑ってかかる思考のこと。(今、作った言葉です)

推理脳がまず思ったことは、作品全体がそもそも怪しい、
すべてが一人の「脳内ストーリー」なのでは?ということ。

つまり、登場人物もすべて一人の登場人物が作り出したもの。

もしくは多重人格で、すべてが一人。

自作自演の脳内完結。

なんてゆーオチなのでは?

ネタバレなしなので、この推理が当たったのか外れたのかは置いといて。

次に思ったのは、「殺人」という犯罪が絡んでいるわけですが、
作品の根底に流れるのが、基本的に「悪」なのか、
それとも人間味を感じる「弱さゆえのゆがみ」なのか、ということ。

前者は、人間の醜く恐ろしい部分を強調したもの、
後者は、人間味がある心を持っていたのに、体験によってゆがめられてしまったことを描いているもの。

個人的には、後者のほうが好みです。

前者は救いがなくて、たとえフィクションであろうと、気持ちの良いものではないから。

さて、今回、これはどちらだったでしょう?

このくらいなら、ネタバレにはならないかな?

はじめは前者と感じて、怖くなりました。しかし読み進めていくうちに、後者の部分もあると感じました。

つまり、どっちか、ではなくて、両方かも。

「君だったんだね」

ミステリー物で真犯人がわかるとき、探偵や刑事などがよく言うセリフ、
「あなただったんですね」。

そこに登場しているのは、思いもよらない真犯人。
読者は「この人が真犯人だったのか!」と、そこで気づかされるシーン。

今回、読み進めていて、「君だったんだね」のシーンになったとき、すごく驚きました。

いろいろ推理していたのに、まったく予想外の人物だったからです。

それまでの流れで殺人犯はわかっているのですが、「そんな簡単に解決するはずない」と疑っていたので、
「うわっ、どんでん返しキター」と思ったんですね。

正直、やられたー!と思いました。

が、しかし。

それ自体が、「やられたー」でした。

何言ってるんだって感じかもしれませんが、つまり、その、それはそうではなかったっていうか。思っていた意味とは違っていたっていうか。

これも作者の罠? 違う?

でも、焦ったー。それはないよねって思ったから。いや、あったとしたら、あまりに思いがけなすぎて。

ここも、詳細やネタバレはやめておきます。

ネタバレしないけど、気になったキーワードを並べてみる

タイトル「僕の殺人計画」ですが、そもそも「僕」って誰でしょう。

そう、この「僕」こそが、犯人なんですよね。

「天才ミステリー作家 vs 正体不明の殺人作家」とある通り、「作家」が犯人なんでしょ、と単純に思いがち。

まあ、そういった展開はあるのですが、ここをあまり素直に考えては真相にたどり着けません。

そして、犯人は明かされるのですが、推理脳で疑り深くなっているわたしは、もう少しねじった真実があるのではと思ってしまいました。考えすぎでしょうか。

何を考えてしまったかって・・・、

ヒント:西本ゆいのプロット

つまり、犯人だと思っていた人物すら操られていて、
本当の、ホントーの「僕」とは・・・!

・・・考えすぎかもしれませんね。

ほかに、気になったキーワードを並べてみます。

  • あと1通しかない
  • 親子の名前
  • 包丁

これら、何の意味もないかもしれません。(と言いつつ、これらは意味ありそうじゃありません?)

それこそがリアル

あーなのでは、こーなのでは、
でもそれは違うのでは、なぜなら、
あっ、そっか、それ見逃してた、
なんてゆー語り合いができそうな気がして、ひねりがある作品、好きです。

もやもやするけど、その「もやり具合」がたまらない。

そして、このもやもや感こそリアルなのではないかと思います。

現実世界、日々の生活ではいろいろなことが起こり、納得できないことも多いでしょう。

それらの事情を説明されたところで、「意味わかんないよ!」「自分ならそうは思わない」なんてこと、ありません?

人は自分の物差しで物事を解釈しようとするけれど、自分に置き換えてみても理解できないことはあります。

それでいいんです、仕方ないんです。考え方は人それぞれだから。

「自分の思考こそが正しい」と押し付けるのは傲慢、かといって「自分がおかしいのかも」と悩みすぎると病んでしまいます。

自分とは違う考え方を理解しようと思う心は尊いですが、程々にということ。

で。
何が言いたいかというと、この作品を読み終えて「これってそういうことか」「いや、違うかも」と感じてしまう「もやもや感」こそ、リアルなのではないかと。

そして思うのです。もやもやは残るけど、スッキリ理解しようとすると傲慢になるか病んでしまうかになってしまうから”程々に”と。

 

今回は、結末がわかったらつまらなくなるミステリー小説なので、ネタバレしないように書きました。

僕の殺人計画

 

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