新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書(西寺郷太著、ビジネス社)を読みました。
その中で印象に残ったこと。
そして思ったこと。
”人は無意識のうちに、事実をすりかえてしまうことがあるのだろうか?”
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脳は、無意識に事実をすりかえる
マイケルは成人してからのインタビューで頻繁に「子供のときから働きづめで、忙しすぎて、ぼくらにはクリスマスも誕生日も祝うことを許されなかった」などと語っています。その内には、普通の少年時代をショービジネスの忙しさによって奪い取った父親批判のメッセージを含んでいます。
マイケルが亡くなった後に流されていた多くの映像の中で、私もマイケル自身がこのことを語っていたのを聞きました。
すなわち、子供の頃から働いていたから、自分の少年時代はクリスマスも誕生日も祝えない寂しいものだった、と。
私は単純に、言葉をそのまま受け止めて、
「子供の頃からスターでいるって、大変なんだな」
と思っていました。
でもこの本に書かれていた西寺さんの指摘にハッと気付きました。
スターだったから、忙しかったから、というのは、誕生日もクリスマスも祝えなかった理由にはならないのではないだろうか、ということ。
あらためて考えてみれば、そうです。
だって、スターだって、忙しい人だって、誕生日やクリスマスくらい祝うでしょう?
スターだから祝えない、というのは、おかしいです。
誕生日やクリスマスを祝わなかった本当の理由
でも、マイケル一家が誕生日やクリスマスを祝わなかったのは事実なのでしょう。
では、祝わなかった本当の理由とはなんなのでしょう?
西寺さんは、次のように解釈しています。
マイケルは、母親が信じている宗教を信仰していていて、
その宗教の教えが「誕生日やクリスマスを祝うことを禁止していた」から。
寂しい子供時代を送った真の理由を追求していけば、マイケルは信仰している宗教やその宗教を信仰するきっかけとなった母親を憎むことになってしまう。
マイケルは宗教や母親を憎みたくはなかった。
だから、クリスマスも誕生日も祝えなかったのは「子供の頃から働いていたから」ということに、無意識のうちに事実をすりかえてしまった――
誰でも無意識に事実をすりかえている
……うーん、と考えてしまいました。
意識的にすりかえていたのではなく、”無意識に”というのが、ちょっと怖いです。
このように人は、自分の過去の事実を無意識にすりかえてしまうことがあるのでしょうか。
本当の真実は自分にとって都合が悪いから、他の理由をあたかも真実のように思い込んでしまうことがあるのでしょうか。
誰もが、”無意識に”やっているのかもしれません。
もしかして私も。
そして自分では、全く気付いていないのかもしれません。
自分の心を守るためなら、真実に気づかなくていいのかも
でも、事実が自分を傷付けるものであり、すりかえられた過去を信じることが、自分自身を守ることにつながるのならば、ムリに、事実を追究する必要はないのでしょうか。
……難しい問題です。
やっぱり、事実は事実として受け入れ、それが受け入れがたいものならば、受け止め方を変えるなどの対処をする方がいいのではないか、などとも思えるのですが……。
しかし、
そもそも、なにが、すりかえられた事実なのか、自分では気付くことも出来ないのかもしれません……。
後日談
この本を読んで、このように感じたことを話していたら、その場にいたある方が、
「話を聞いていて、思い出しました」
と言い出しました。
「実は、自分は、あのサリン事件のとき、近くにいた。もしかしたら、巻き込まれて被害者になっていたかもしれなかった」
でも、そのことがすっぽりと、記憶から抜け落ちていたのだという。この話を聞いていて、思い出したのだと。
「自分にとって、あまりに強烈に恐ろしい体験だったから、忘れていたのかも」
だから、自分の心を守るために、脳が事実を作り変える、またはそのことを記憶から消す、というのはあり得ることだと思ったと。
脳は、知らないうちに、私たちの心を守ってくれているのです。
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