「センセイの鞄」(文藝春秋/川上弘美著)
を読んだ。
川上弘美さんの本は以前にも読んだことがあって、独特の世界になじめなかったりしたこともあったけれど、
この本は読んでいるうちに川上弘美ワールドに引き込まれてしまっていた。
登場人物たちがとてもリアルな感覚で自分の近くにいるように感じられた。
「正式なお付き合い」という表現を使って交際する2人に、
そして年齢が近い人と恋愛関係になるのが大多数だとしたら、
そういう恋愛感覚に縛られず、素直にただ自分の想いを大切にしている2人に、
共感とはちょっと違う、好感をもった。
気になった物語の中の言葉。
※引用※
「育てるから育つんだよ」
~中略~
大事な恋愛ならば、植木と同様、追肥やら雪吊りやらをして、手を尽くすことが肝腎。
そうでない恋愛ならば、適当に手を抜いて立ち枯れさせることが安心。
一理あるなあと思った。
全面的に賛成しないのは、
大事にしていたつもりの恋愛が枯れてしまうこともあると思うし、
適当に手を抜いていたつもりの恋愛が育っていることもあるのではないかと思うからだ。
読んでいて心地いい物語だった。
行間から立ち上ってくるような、ゆるやかな、たおやかな感じが。
文中の表現をそのまま使わせてもらうならば、
”あわあわと”時間が過ぎていく様子が。
読み終えた後も、登場人物たちのぬくもりみたいなものを感じてしまっている。
ひよこはどこにいったのでしょう?
ツキコさんは今日もどこかでセンセイを想っているのだろうか。
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