「アイム・ノット・ゼア」(監督:トッド・ヘインズ、キャスト:クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、リチャード・ギア、ヒース・レジャー、ベン・ウィショー、マーカス・カール・フランクリン他)を観てきました。

「詩人、アウトロー、映画スター、革命家、放浪者、ロックスター 全てボブ・ディラン 6人の豪華キャストが演じる、生ける伝説」
という謳い文句のこの映画、日本での公開前から評価が高かったようで、最近ブライアンつながりでボブ・ディランにも興味を持ち始めた私としては、予告を観た時から、
「観たい!」
と思っていたのですが、早速観てきました。

ちなみに「ディラン本人が初めて公認した”真の”ディラン映画」だそうです。

しかし、この映画は、ボブ・ディランに詳しい人にはすごくおもしろいのでしょうか。

少ししか知らない私には、わかりづらくて混乱してしまう部分もありました。

いわゆるボブ・ディランの今までの経歴を、順序立てて描いている映画ではないのです。

フィクションとノンフィクションが交じっているように感じられました。

時代も前後しますし。

それに6人の俳優さんたちが明らかにボブ・ディランを演じているのですが、映画の中での名前は「ボブ・ディラン」ではありません。

例えば、いきなりウディ・ガスリーと名乗る11歳の黒人少年が出てきます。

「この子はディランの幼い頃という設定? しかし何故黒人?」
などと混乱していると、その子は(たぶん)ディラン自身ということではないようなのです。(いえ、やはりディランということなのでしょうね、”6人”ですから)

しかしウディ・ガスリーは実在の人物で、実際のボブ・ディランが敬愛していたミュージシャンというのは本当の話。

そして少年が病床のウディ・ガスリーの傍らで演奏するシーンが出てくるのですが、実際にディランは同じことをしていたというエピソードが残っています。(11歳の時ではないですけど)

また明らかに一時期ディランと一緒に活動していたジョーン・バエズらしき女性が出てきますが、名前は違います。

前回「ファクトリー・ガール」という映画を観たブログを書きましたが、そのモデルとなった女性、ディランと一時期付き合っていたと言われるイーディ・セジウィックらしき女性も出てきますが、名前は”ココ”です。

映画の中の二人は付き合っていたというような雰囲気ではありません。

映画では、ディランは出会った女性とそのまま結婚し、二人の娘に恵まれ、数年後離婚します。

でも実際はスーザン・ロトロ(二人の写真はジャケット写真にも使われた)と付き合って別れた後、サラという女性と結婚しています。

その後の離婚は事実ですが、二人の間には四人の子供がいて、息子さんもいたと思います。

この、ノンフィクションに交じるフィクションの部分が、”ディランを少ししか知らない”私には、理解しにくく、混乱してしまいました。

一番わかりづらかったのは、リチャード・ギアが演じるアウトローのディランです。

1966年のバイク事故の後、ディランはニューヨーク郊外の田舎町でしばらく隠遁生活に入っていたのですが、その間に、このような経験を本当にしたのでしょうか?

それともこの部分はフィクション?

一番わかりやすかったのは、ケイト・ブランシェットが演じたロックスターのディランです。

インタビューで皮肉っぽい答えを返したり、大音響で演奏を始めたディランがブーイングの嵐に襲われるのは、私も(DVDで)観たことがあるおなじみのシーン。

女優さんなのに、男性のディランを演じても違和感なく、とても特徴をとらえていました。

あっ、そういえば、ブライアン・ジョーンズの名前も出てきました。
でも、あまりいい感じで出てこなかったですけど。
会話の中での「”コピーバンドの”ブライアン・ジョーンズ」みたいな台詞だったかと。

あーっ、
それと、「やせっぽっちのバラッド」に登場する「ミスター・ジョーンズ」のモデルになったと言われているタイム誌の”ジェフリー・オーウェン・ジョーンズ”という記者と、ディランが口論するシーンが出てきます。

この曲の”ミスター・ジョーンズ”はブライアンじゃなかったのですね。
よかったね~、ブライアン^^

タイトルの「アイム・ノット・ゼア」(わたしはそこにいない)は、1967年にボブ・ディランが行った『ベースメント・テープス(地下室)』セッションでレコーディングされ、今まで公式には未発表だった曲からきているのだそうです。

「自分は存在していないと思って生きてきた」というようなことを、作家(作曲家)のポール・ボウルズが言っていました。同じような意味でしょうか。

ボブ・ディランのことをもっと知ったら、この映画も、もっと味わい深いものになる……、のかもしれません。
というか、今のままの状態でも、もう一度観たら、新たな発見があるような気もします。

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(ちょっとだけ超個人的な本音を言うと、「NO DIRECTION HOME」のほうが面白かったです。ディラン本人も出てきますし)

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