「つまずきやすい日本語」飯間浩明著を読みました。

飯間さんは国語辞典編纂(へんさん)者であり、日本語のプロといえる方です。

新刊が出たと知り、早速購入。

「間違いやすい」ではなく「つまずきやすい」となっているところに意味があり、

「日本語はこうあるべき!」といったような堅苦しさがなくて、読みやすかったです。

すこーしだけネタバレしながら、自分の感想を書きます。

「つまずきやすい日本語」、日本語を使っている、日本語を使うことを仕事にしている方には興味深い内容だと思います!



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「了解いたしました」は失礼ではない

私が飯間さんを知ったのは、このツイートでした。

その件に触れたブログ↓

 

このツイートを知ったときの私は、「了解いたしました」を疑問も持たず使ってきていたのに、失礼な言い方だととらえている人が多いと知り、ショックを受けていました。

周りの人たちもフツ―に使っていたのに。

「私、今までどれだけ失礼だったのだろうか……」

 

しかし、上記の飯間さんのツイートを見て救われました。よかった!

今回の本の中にも、その話題が出てきます。

「了解しました」が失礼で「承知しました」と言うべきだという説がネットなどで広まったが、「了解」も「承知」も「いたしました」をつけることで、礼儀正しい言葉になるのだと。

「承知!」「了解!」とは目上には言いませんよね。

ただし、言葉は相手の受け取り方次第なので、相手が「失礼だ」と感じてしまうのなら使わないようにしたほうが良いと。

100%同感です。

私は「了解いたしました」を使う回数が、めっきり減りました。

「了解いたしました」失礼説があるのなら、相手が「失礼な人だな……」と気分を害してしまう可能性があるので。

「的を射る」or「的を得る」?

「その意見、いいね!」

というようなとき、「的を射た(得た)意見だ」などと表現します。

どちらかというと「的を得る」のほうが多く使われている印象があります。

でも、この場合の「的」は弓矢で射る「的」であり、「的」は「得る」ものではなく弓矢で「射る」もの。

よって、「的を得る」は誤りとされてきました。

ところが、2014年に「的を得る」が誤りであるという記述が三省堂国語辞典から削られたとのこと。

つまり、「的を射る」も「的を得る」もどちらも正しいのだと。

 

私は「的は得るものではなく、射るもの」という記述をどこかで読んで、この表現を使うときには「的を射る」としてきました。

でも「的を得る」は多く使われているし、「的を射る」と表現するほうが不自然な気がすると思っていました。

2014年から「的を得る」でも良くなっていたとは!

 

この本には、上記のような例がいくつか登場します。

「えっ、それ以前は間違いだったの?」と思ってしまうような言葉も。

「ことば」と「言葉」

本を読んでいて不思議に思ったのが、「言葉」ではなく「ことば」とひらがなで書かれているところ。

このブログでは「言葉」と書いてしまっていますが、本一冊を通して「ことば」とひらがなで書かれているのは、絶対意味があるに違いないと思いました。

 

調べたところ、ひらがなの「ことば」は大和ことば。つまり、純粋な(という表現が正しいのかどうか)日本語。

漢字の「言葉」は漢語。音読みで「コトバ」と読むことからもわかるように、日本古来のものではなくて中国から入ってきたもの。漢字自体が中国から入ってきたものですものね。

 

要するに、この本は日本古来の、日本で生まれた「ことば」について書かれているということ。そもそも本のタイトルが「つまずきやすい日本語」ですから。

思ったことが伝わらない

自分では十分にわかりやすく伝えたつもりなのに、

「なぜ伝わらなかったのだろう」

と思うこと、ありますよね。

 

例えば何かについて力説した後、相手が、

「××ってことですね!」

と話の内容について述べたとき。

えっ! そこ!? 確かにそれについても話したけど、重要なのはそこじゃなかったんだけど!

と思うことがあります。

人は自分の感性で、都合よく話を解釈してしまいがち。

「まあ、そう受け止めたのなら、それでもいいか」

と思うこともありますが、意外な悪い意味の誤解を受けるのはイヤなものです。

「そんなこと一言も言っていないのに、なぜそうなってしまうのか!」

というような。

少しも思ってもいないし、言ってもいないことまで、相手の中で勝手に言語化されてしまうことがあります。

怖いですね。なるべく起こらないようにしたいです。

 

この本では、「伝わらない」件についても触れています。

伝わらないならそれでいい、ではない。

頼りない道具であることばを使いながら、なるべく誤解を避け、ものごとを正確に伝えるという、曲芸のようなことを実現しなければなりません。

本には正確に伝えるための手段についても書かれています。

ひとつだけネタバレすると、「場数を踏む」こと。

読みやすい本だなあと思ったら……

「こうでなくてはいけない」というような「決めつけ」がなくて、冒頭にも書いたように堅苦しさもなく読みやすいなあと思っていたら、著者の飯間さん自身が堅苦しくないようにと心がけたのだそうです。

以前、書いた本が「難しい」と言われたことを踏まえて。

ことばに関する「つまずき」について、なるべく肩のこらない文章を書くよう心がけました。

~中略~

読者のあなたには、あまりつまずかずに、気楽に読んでいただけることを願ってやみません。

日本語、難しいですね。

でも、日本語を愛して、できるだけ伝わるようにと心がけていきたいです。

 

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