以前書いたブログで、印象に残っているものをあらためてUPしておきます。
「前向きな考え方」って重要視されることが多いですが、この部分を勘違いしてはいけないと思うのです。
プラス思考は事実をすりかえることではないということ。
プラス思考≠事実をすりかえる
2002年11月14日に書いた記事です。以下、そのまま転載。(転載元、削除済)
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藤堂志津子さんの「昔の恋人」(集英社文庫)を読んでいる。
藤堂さんの作品を読むのは久しぶり。
一時期、立て続けに読んでいたのですが。
藤堂さんの文章はやわらかくて読みやすいので好き。
さて、この「昔の恋人」は短編集なのですが、そのうちの1つの作品を読んでふと考えてしまったことがあったので、そのことを書きます。
収録小説の中の「浮き世」を紹介
タイトル「浮き世」。
少しだけあらすじを紹介。
主人公の女性(35歳)はバツイチのOL。
「自分はツイている女、ツイている人間」と考えている。
それは自分にふりかかってくる全てのことを「ツイている」と受け止めるように思考のスイッチを固定したからだ。
そんな彼女に兄が言う。
「おまえのホラ話を聞いているだけで、おれは虫唾が走る」
「私の言っていることの、どこがホラ話なのよ」
「だから言ったろ。自分はツイている女、ツイている人間という、その言い方そのものがホラを吹いていると、おれは言うんだ」
「だから、それの、どこがホラだって言うのよ」
「佐伯との結婚と離婚にしても、おまえは自分の都合のいいホラ話にすりかえてるだろ?
おれからすれば、おまえは、女たらしの佐伯にダマされて結婚し、二年とたたないうちに亭主が他に女をつくって逃げた。
これはおれだけじゃなく、おまえたち夫婦を知っている者は、みんなそう見ていることなのに、おまえだけが、自分に都合のいいように話をつくりかえている」
---中略---
兄はバカだった。
過去の出来事を、現実を、そのままいまに引きずって、なんになるというのだろう。
それらのことを、どう受けとめ、解釈し直し、どのようにプラスに転化させるかが、大人になった人間のすることではないか。
主人公に同感と思っていたが、気づく
私もこの後半部分を読んだ時、
「そうよね、プラスに考えていくことはいいことよね。この主人公が間違っているとは思えない」
と思った。
でも、読みすすめていくうちに、やっぱり違う、何かが違うって気付いた。
そうか! そうだよね!
「前向きに考えること」と「事実をすりかえて解釈する」のとは違う。
具体例で考えてみる
例えば何か失敗をしてしまった時、
「今回は失敗しちゃった……。情けないな……。でも、2度と同じ失敗を繰り返さないように、より頑張っていこう」
と思うのと、
自分の失敗を認めずに、
「○○で、××だったから、私は悪くなかったのよ! 私は失敗なんてしていないわ!」
と自分の都合のいいように理由をくっつけて事実を曲げて解釈するのは違う。
自分は正しかったんだ、って都合のいいように解釈すれば、楽なのかもしれないけれど。
そういえば知り合いにも「都合よく解釈する」という面で、同じような考え方をする人がいる。
彼女の解釈だと、自分が待ち合わせ場所を間違って、相手と中々会えなかったことですら、自分は悪くなかったっていうことになってしまう。
話を聞いた私が「でも、それはあなたが悪かったんじゃない?」と言っても、納得いかないような顔をしている。
私は今まで全てを自分のいいように解釈する彼女のことを「プラス思考」な人だと思っていた。
だけどそう思う一方で、何かが違うような気がしていた。
事実をありのままに受け止めてこそ、本当の前向きになれる
感じていた違和感が何だったのか、わかった。
そうだったんだ。
「プラス思考」と「事実をすりかえる」こととは違う。
プラス思考をするのに大切なのは、まず事実をそのまましっかりと受け止めること。
うまくいかないことがあった時、つい何かのせいにしたり、自分の都合のいいように事実を作り変えてしまったりすることが私にもあるかもしれない。
これって、たぶんとても見抜きにくいのでしょう。
その考え方が、プラス思考で前向きなのか、それとも事実を自分の都合のいいように捻じ曲げて正当化しているだけなのか。
しかし、事実を都合のいいように捻じ曲げている考え方をしている場合、そこに発展はありません。
自分にとって都合の悪い事実でも、ありのままに受け止めて、悪いところは直していくようにしようとするところから、向上心が生まれるのですから。
この違いに惑わされないように、
そして間違ったモノの捉え方をしないように気をつけていかなくちゃと思います。
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