公開されたら絶対早めに観にいくんだ~!と思っていた「やわらかい手」を観た。
(原題”IRINA PARM”(イリーナの手のひら) 監督:サム・ガルバルスキ キャスト:マリアンヌ・フェイスフル、ミキ・マノイロヴィッチ、ケヴィン・ビショップ、シボーン・ヒューレット)
何故、そんなに楽しみにしていたかというと――
もちろん、以前ブログにも書きましたが、大好きなマリアンヌ主演の映画だからです!!
マリアンヌについてのブログはコチラ!
この先、ネタバレ注意です!
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あらすじ
泣きました。
好きな映画はたくさんありますが、この映画も私のツボでした。
↓以下、あらすじ。
ロンドン郊外で暮らすマギーには難病を患う最愛の孫がいる。
手術をするのには多額の費用が必要。
あらゆるお金の工面をし尽くした息子夫婦。
マギー自身もお金の工面に奔走するが、借金をするあてもなく、仕事も見つからない。
絶望するマギーは、ある風俗店での仕事に就くことになる。
最初は抵抗感があるものの、孫のためと覚悟を決める。
そのうち行列ができるほど、マギーは売れっ子になっていく。
マギーがそこで見つけたものとは……、そして孫の命を救うことができるのか……
この風俗店でのマギーの仕事は、日本の性風俗産業のドキュメンタリーからアイディアを得たそうです。
簡単に説明しますと、客(男性)とマギーの間にある壁に穴があいている、そしてマギーは手をつかって接客する、という感じでしょうか。
しかし、こんな素晴らしい映画のヒントになるなんて、ある意味、日本すごいです。
マリアンヌとマギーの共通点
マリアンヌ自身はインタビューで、
「マギーと自分には共通点はないが、重要な共通点は息子(ニコラス)と孫に対する愛情だ」
と語っています。自分もマギーと同様に18歳のときに息子を産んだのだと。
しかし私にはそれ以外にも、マリアンヌとマギーとの共通点はあるように思えました。
それは、苦しくても絶望の底にいても、決してそれを愚痴にしないこと、
「私はこんなにかわいそうなの、だから誰か助けて」
というふうにならないところ。
そして自分で必死に考えて、自分で出した解決策に真っ直ぐに取り組んでいくところ。誰になにを言われようと。「後悔なんてしていない」と言い切るところ。
こういう潔さ、強さが、私が素のマリアンヌに対して大好きなところなのですが、映画の中のマギーも正にそういうキャラクターだったように思います。
そして愛情深い。
実際のマリアンヌは奔放に生きているイメージがありますが、ただ自分勝手に奔放に生きているだけだったら、匙を投げられるだろうし、周りからの支持は得られないし、いい仕事なんてまわってこないでしょう。
だからマリアンヌにはそれだけの人間的な魅力があるのだと思います。
「あなたのため」と言わないけれど、誰かのためである愛情ほど、本物の愛情はない
マギーは決して見返りを求めません。
孫のために、少ない生活費を節約して買ったプレゼントも「くじで当たった」「道で拾った」と言って渡します。
味方だと思っていた人たちが、状況の変化で手の平を返したように離れていってしまったり、自分だってつらいのに、好きでやっていることじゃないのに、責めたてられる苦しさ。
それでもマギーは怒鳴り返すのではなく「私は後悔していない」と言い切る。
わかってもらえなくてもいい、わかってほしい、わかってもらえなくてもいい、これしか方法がなかったの、これで孫の命が救えるなら自分はどうなったっていい……、マギーの心の中にはこんな葛藤が渦巻いていたように思えます。
「つらい」と言わない、でも伝わってくる「つらさ」。こんなに痛いものはありません。
そして「あなたのため」と言わないけれど、誰かのためである愛情ほど、本物の愛情はないと思います。
こんなにつらいのに、心があたたまる映画に出会うことは中々ありません。
本当に、観てよかったです。
大切なのは、自分が自分をどう思うのか
マリアンヌのインタビューの中で、「私もそう思う!」と共感して嬉しかった部分がありました。
「本当に大事なのは、自分が自分をどう思うかです」
マリアンヌ自身、世間からのイメージや評判を気にしていた時期があったけれど、それを乗り越えてきたと語っています。
”大切なのは、自分が自分をどう思うのか”
大いに同感です。
他人は無責任にいろいろなことを言います。
でも例えば、辛辣に自分のことを批判した誰かが、または自分を必要以上におだてて持ち上げた誰かが、いざという時に、なにをしてくれるというのでしょう?
誰が本当の自分の味方なのか、真実を見極める目をもつことも大切だと思いますが、結局、自分の人生の責任をとるのは自分なのです。
「自信」とは、自分を信じると書きます。
他の誰かが××と言ったからというような他人の意見よりも何よりも、まずは自分が自分を信じられるのか、ということ、自分の心に恥じないように生きているかということが大切なのです。
マリアンヌはいろいろなことを乗り越えてきたから、いい意味での自信も手に入れたし、だから優しくてあたたかくて、強いのだと思います。
身近に感じられたマリアンヌ・フェイスフル
映画の中でマギーは「君の歩き方が好きだ」と言われるのですが、これは原作にもあった台詞なのでしょうか。
前から、マリアンヌの歩き方って特徴があると思っていたので、もしかしてマリアンヌのために入れた台詞なのかも??
(マリアンヌの歩き方って、ものすごく胸を張って、背筋を反り返るくらいにして、脚をピンと伸ばしているのです。堂々としている、というのかな。)
マリアンヌは大好きだし、気になっている存在なので、初めて大きなスクリーンで観ながら、会ったこともないのに何故か身近に感じられました。
黒髪のマリアンヌも新鮮。
しかしなんの映画紹介を見ても、「ミック・ジャガーの元恋人」「60年代のアイコン」と書かれてます。
仕方がないことなのでしょうね……
マリアンヌ以上に魅力的な女性って簡単に見つかるものではないと思うので、ミックは最初にハードルをあげてしまいましたねえ・・。
あ、それと、
“Marianne has recieved a best actress nomination at the European Film Awards.”
ということで、この映画でマリアンヌはEuropean Film AwardsのBest Actressにノミネートされたようです。
マリアンヌは最近自伝本も出したんですよね。
日本語版、出ないかなあ……。
最後に、原題の「IRINA PARM」というのは、マギーの風俗店での呼称ですが、この”イリーナ”というのは、マリアンヌが20歳の時の舞台劇チェーホフの「三人姉妹」の役名と同じなのだそうです。
監督とマリアンヌの遊び心が出ているのでしょう、ということです。
やわらかい手 |
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2007年12月19日 at 12:48 PM
この映画、以前YouTubeで予告編を見て、ものすごく見たかったんですよ〜。
来年は隣町(札幌市)でも上映されるみたいなのですごくすごく楽しみです。
予告編では、孫を見舞うシーンで見せるマリアンヌの表情がとても優しそうで好きです。そういえばマリアンヌ、ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット」ではマリア・テレジア役として出演してましたね。もちろん、観ました!
今年も後わずかですね。るかさん、良いお年を!
2007年12月19日 at 10:25 PM
アランさん、こんにちは☆
以前のアランさんのコメントから、はみだしっ子のブログを書かせていただいたんですよ♪
はみだしっ子を思い出させて頂き、ありがとうございました。
映画、よかったですよ~
マリアンヌをスクリーンで観られただけでも感激でしたが。
もちろん「マリー・アントワネット」もマリアンヌが出るということで観ました!
これからも活躍して欲しいですね。
アランさんも、よいお年を♪