そのうちの1枚が「炎のギタリスト」という2000年にオンエア(劇場未公開)されたという、ジミ・ヘンドリックスのドキュメンタリー風映画。
ウッド・ハリスが演じるジミ・ヘンドリックスが、死の数日前(1970年9月12日)にインタビューを受けながら回想するという設定で話が進められていく。
音楽は俺の神であり、永遠に不滅だ。
ジミ・ヘンドリックスのことはブライアンつながりで、詳しいとは言わないまでもアウトラインは知っていたけれど、この作品、おもしろかったです!
なんだかジミを通して、ブライアンを見ているような気持ちになりました。
以前も書きましたが、二人はとても似ていて、気が合ったのはよくわかる!と思いました。
この映画の中でも、”ブライアン・ジョーンズに影響を受けた”とか”モンタレー・ポップ・フェスティバルに出るよう、ブライアンに誘われた”など、名前も出てきますし。
あと、モンタレーに行ったときの本物のブライアンの映像もチラッと出てきます。
(その他、ミックやマリアンヌ、ボブ・ディラン、フー、ビートルズ、モンキーズなども、チラッと出てきます)
ブライアンはジミのプロデュースをしたいと言っていたらしいですね。
立ち読みしたジミの本に書いてあったのですが。(買えって^^;)
2006年に公開された(私にとって記念すべき、ブライアンを知ることになった)映画「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」は、ブライアンの死因についてのもので、ミュージシャンとしてのブライアンの魅力は殆ど表現されていませんでしたが、この「炎のギタリスト」は違います。
ジミがいかに音楽を愛していたか、有名になって”金儲けのできる音楽”しかやらせてもらえなかったことに、いかに苦悩していたか、が描かれています。
アメリカで人種差別を受けながら、中々芽が出ずにいたジミは、当時キース・リチャーズの恋人だったリンダ・キースの目にとまります。
アニマルズのチャス・チャンドラーに紹介されたジミはイギリスに行き、スターになっていきます。
名声を手に入れ、周りからチヤホヤされ、夢を叶えたと思いきや、”売れる”ための音楽をするためには、自分の音楽性に妥協をしなければならない。
ジミの理解者だったチャス・チャンドラーと共に活動できなくなり、とにかく稼がせようとするマネージャーのマイク・ジェフリーのやり方に、ジミは衰弱していくばかり。
自分のやりたいことを主張してみるが、
「(儲けられる)今のままのスタイルでいけ」
と、まるで相手にされない。
しかも稼いでいるはずのお金は、何故かどこかへ消えていく。
「成功と幸せっていうのは、別のものだ」
というジミの台詞。
音楽でスターになることを夢見ていた。それが成功したのに、この空虚さはなんなのだろう。……成功者にしかわからない心境なのかもしれません。
一人ではどうしようもなくなったジミが、チャス・チャンドラーに、
「おまえが必要なんだ。自分でやってみたけど、うまくいかなかった。おまえとなら、うまくやれる」
と言い、
「俺に任せろ。前みたいにな」
とチャスが頷き、
「前より良くなるさ」
とジミが答える。
ジミが自分の音楽性を主張するシーン、商業主義に反発するシーンなどなど、見ていてブライアンに重なってしまった。
そして「自分でやってみたけど、うまくいかなかった」という台詞――、ブライアンも一人で立ち向かっていたんだよね……、と思ってしまい、やっぱりいくら素晴らしいものを持っていても、それをよく理解してくれる協力者がいなければ難しいんだ、ということを教えられた気がした。
ストーンズ脱退後、アレクシス・コーナーを相手に今後の展望を語るブライアンは、チャス・チャンドラーに今後のことを話すジミと近い心境だったのかもしれない。
ブライアンと仲がよかったジミは、ブライアンの死をどう受け止めたのだろうと、ずっと気になっていたのですが、この映画の中に、ブライアンの死について語るシーンがあった。
ドラッグ所持の裁判で勝った後、ジミを囲んだ記者たちの一人から、
「ブライアン・ジョーンズの死は(どう受け止めてますか)?」
という質問が飛ぶ。
ジミは、
「ブライアンは友達だったし、いなくなって寂しいね。今は安全で、特別な場所にいるはずだ」
と答えます。
この時のジミの表情はなにを物語っていたのでしょう。(といっても、ウッド・ハリスの演技ですが)
亡き友への想い?
自分もブライアンと同じところにいくことになるかも、という予感?
”今は安全で、特別な場所にいるはずだ”
実際に語られた言葉なのかどうかはわからないけれど、生前のブライアンの苦悩を知っていたはずのジミが言うこの台詞には心を打たれた。
深い悲しみと、祈りがこめられている気がして。
さて、この映画の中では「1970年9月12日」にインタビューを受けた、ということになっていますが、実際のジミの生前最後のロング・インタビューは「1970年9月11日」、キース・オルサムによるものだったという。
そのインタビューの全文が、夢ムックに掲載されているのですが、読んでいると、ますます、
「ジミってステキな人だなあ。絶対ブライアンと気があっただろうなあ」
と思えてくる。
ステージでのジミとは違い、素顔のジミはシャイで礼儀正しく、もの静かで、どこか寂しげなところがある人だったという。
インタビューに入る前に、マネージャーのマイク・ジェフリーに対する不満も述べていたそうだ。
チャス・チャンドラーともう一度組むつもりで、契約にサインをしたものの、そのことがマイク・ジェフリーに知れてしまい、契約書が消えてしまったのだという。
音楽についても、たくさんのアイディアがあり、
「基本的にビジュアルやパフォーマンスでごまかすつもりはない」
「エレクトロニクスの最先端をいくような音楽は素晴らしいが、自分はもっと単純でわかりやすくて、ビートのきいた音楽をやりたい。もっとパワフルなのをね」
などと語っている。
また、
「俺がやろうとしているのは、ものごとの全体をよく見て、これには別の側面もあるんだ、とみんなに示すことだ。今はこっちの半分しか見えてないけど、別の半分が必ずある。そこに問題解決の鍵があるんだ。どんなものごとにも、もうひとつ別の側面が必ず存在する」
と語ってもいて、ああ、なんて大きな視野でものを見られる人なんだろう、ブライアンともこんな話をしていたのかなと思った。
うん、きっとしていたに違いない。
「類は友を呼ぶ」という諺がある。
その人を知りたかったら、その人の友達を見るとわかるとも言われている。
ブライアンの交友関係を知ると、ブライアンの人柄がわかるように思う。
繊細で、悪人じゃなくて、でも決して型にハマった堅苦しい”いい子”じゃなくて、どことなく品があり、ユーモアもあり、自分のスタイルを持っている人。
ジミのファンの方々がどう感じるかはわからないですが、私は、ジミを演じたウッド・ハリス、とてもがんばっていたと思います。
また新しく、ジミの映画が公開される予定でしたよね?
どんな映画になるのかはわかりませんが、ちょっと楽しみです。
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