アカデミー賞作品賞を受賞した『グリーンブック』を観た。
(監督:ピーター・ファレリー、キャスト:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ)

最近、映画情報をチェックしていなかったので、アカデミー賞受賞作品ということも観てから知り、「映画の日」だったので、たまたま3月1日に映画館に足を運んだら、公開初日だった。

この映画、なんと実話とのこと。

****この先、ネタバレ注意****



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あらすじ

1962年、ニューヨーク。今よりもずっとずっと黒人差別の傾向が強かった時代。

天才黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)は、差別の色濃いアメリカ南部のツアーを決行することに。

ドライバー兼用心棒として、粗野なイタリア系アメリカ人、トニー・ヴァレロンガを雇うことになる。

 

ピアニストなのに”ドクター”の理由は、音楽、心理学、典礼芸術の3つの博士号を持っていたため。

ホワイトハウスで演奏した経歴を持つドクター・シャーリーは、カーネギーホールの上階に1人で住み、インテリで紳士で芸術家肌。

 

一方、トニーは腕っぷしは強いけれど無学。大食漢で、運転中もいつも何かを食べている。

大きなピザも切らずに折りたたんで、そのまま食べる。
(実際のエピソードだそう。トニー役のヴィゴ・モーテンセンは、役作りのために20㎏も体重を増やしたのだとか。共同脚本家として、実際のトニーの息子、ニック・ヴァレロンガが入っているため、実際のエピソードが盛り込まれている)

トニーは妻と2人の子供、友人たちに囲まれて、にぎやかに暮らしている。

 

そして、トニーは差別主義者。
黒人と一緒に南部ツアーをするなんて無理だと最初は断るものの、結局引き受けることに。

グリーンブックを頼りに、デコボコ・コンビの旅が始まった。

 

グリーンブックとは・・・

1936年から1966年までヴィクター・H・グリーンにより毎年出版された黒人が利用可能な施設を記した旅行ガイドブック。ジム・クロウ法の適用が郡や州によって異なる南部で特に重宝された。

公式サイトより引用)
※ジム・クロウ法とは、黒人の公共施設利用を制限した法律。

実際の2人

実際のドクター・シャーリーの演奏。

ドクター・シャーリー(Donald Walbridge Shirley)は、1927年1月29日、フロリダのペンサコーラ生まれ。両親はジャマイカからの移民。
ピアノは2歳から習い始めた。
得意とするクラシックの演奏よりも、ジャズなどを取り入れた演奏で成功。
2013年4月6日、心臓病で逝去。享年86。

トニー・ヴァレロンガ(通称トニー・リップ、Frank Anthony Vallelonga Sr.)は、1930年7月30日、ペンシルベニア州ビーバーフォールズ生まれ。両親はイタリア人。
米国陸軍に勤務し、ドイツに駐留。(1951年~1953年)。
ドクター・シャーリーのドライバー兼用心棒として、南部ツアーに同行。(1962年~1963年。映画では2週間のツアーだが、実際には1年にわたるツアーだったそう)
その後、俳優としても活躍。
2013年1月4日逝去。享年82。

亡くなったのが2人とも2013年、数か月違い。

映画で描かれていること

映画では南部ツアー中に差別を受ける様子が、淡々と描かれている。

例えば、演奏家であるドクター・シャーリーはVIP扱いされて当然のはずが、黒人用のトイレを使うように言われる。

楽屋は物置。

レストランで食事をしようとしても、「ルールなので」と断られる。

服の試着をさせてもらえない。

一緒に旅しているのに、黒人用の宿にしか泊まれないため、トニーとは別の粗末な宿。

演奏用に用意されたピアノにゴミが入っている。

バーに飲みに出たら、からまれる。

警察官にもからまれる。

 

北部ツアーなら「3倍はギャラが高い」のに、ドクター・シャーリーは差別が激しい南部ツアーを敢行した。

何故か?

世界を変える(人の心を動かす)には才能だけでは足りない。勇気が必要」だから。

2人の間に生まれる友情

ドクター・シャーリーの演奏を観て、トニーは「あいつは天才だ」と、妻に手紙を送る。

旅をするうちに、2人はプライベートな会話も交わすようになる。

 

ドクター・シャーリーは、結婚をしたことはあるが別れてしまい、独身で一人暮らし。

身内と言えば、長いこと会っていない兄がいる。

「兄さんに手紙を書けよ。寂しいときは、自分から動かなくちゃ」

というトニー。

 

ツアーラストはクリスマス・イブ。

家族でクリスマスを祝うのに間に合いたいトニーだが、ニューヨークに帰る途中、大雪になる。

睡魔に襲われたトニーに代わって、ドクター・シャーリーがドライバーになり、トニーを自宅に届ける。

家族が待つ家に帰り、クリスマスを祝うトニーは、心が晴れない。

一人、自宅でクリスマス・イブを過ごしているのであろうドクター・シャーリーのことが気になっているのだ。

 

一旦、自宅に帰ったドクター・シャーリーは、(たぶんトニーから言われた「寂しいときには、自分から動かなくちゃ」という言葉を思い出し)、手土産を持ってトニー宅を訪ねるのだった――

ハッピーエンドではない映画

この映画を「心温まる」「ハッピーエンド」と受け止めた方もいるかもしれない。

しかし私には、なにも解決されていない、結論がなにも出ていない、単に、「こういうことなんです」と言われている作品に感じられた。

そして「どう思う?」と問題提起されているような。

 

たった2年ほど前に、アメリカ留学をしている女性の学生に英訳をしてもらったことがあった。(その節はありがとうございました<(_ _)>)

私が書いた物語の中に出てくる「黒人さん」というフレーズを、彼女は「american(african) gentle man」と英訳してくれた。

日本人的に直訳すると「黒人」は「black man」。

しかし「”black”というフレーズには、差別的な要素が含まれてしまうんです」と。

いまだに・・・、いまだに差別。

過去のことじゃない。現在も、なのだ。たぶん昔よりは、ずっと良くなっているとはいえ。

差別ってなに?

いい大人ですが、子供のように「差別ってなに? どうして?」と考えてしまった。

白い色が黒い色を下に見るのが、動物的本能なの? だったら、人間以外の動物たちの中にもそれはある? 例えば犬とか猫とか。

人類発祥の地はアフリカのケニアと言われている。

だったら、人間の一番の先輩は黒人じゃないの?

なのに、何故、黒人が差別されるの?

 

黒人の肌はツヤツヤしていて綺麗で強いし、運動神経もリズム感も優れている。

教育を受けた優秀な人もたくさんいる。

なのに、何故差別??

 

わからない。

ちょっと胸の奥でわかりかけているような気がするけれど、はっきりとわからない。

この「モヤモヤ感」を抱えて、その理由を考えることこそ、「グリーンブック」を観たことの意味なのかもしれない。

 

とりあえず、フライドチキンが食べたくなる映画。観れば、わかる。

※追記

イタリア人はパスタが好きと言われても気にならないが、黒人はフライドチキンが好きと言われると微妙。

このあたりの根底にある差別心理が、さらりと描かれているのも秀逸。

 

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