映画「英国王のスピーチ」(監督:トム・フーパー キャスト:コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ他)を観た。

先日のアカデミー賞でも話題になった作品ですが、
「退屈な映画かも」
と、大きな期待はしていなかった。

が、これがとっても、

――よかった。

エンターテイメントな作品ではないし、「ここが泣き所」みたいな演出もないのに、観ながらハラハラドキドキしたり、涙ぐんだりした。

この作品は実在していた英国王、ジョージ6世(1895年12月14日 – 1952年2月6日、在位:1936年12月11日 – 1952年2月6日、現エリザベス女王の父親)を描いた作品。

幼い頃から吃音に悩まされていたアルバート・フレデリック・アーサー・ジョージ・ウィンザー(ジョージ6世)は、兄のエドワード8世が即位後1年も経たないうちに王位を捨てたことで、次男であった故に即位することになる。

国王になれば、スピーチの機会も増えてくる。

あまり身体も丈夫ではないジョージ6世を支える妻・エリザベスと共に言語療法士・ライオネルのもとを訪れ、治療を続ける。

1939年第二次世界大戦勃発、
ジョージ6世は国民に向けたスピーチに臨む――

素敵だな、と思ったのは妻のエリザベス。

スピーチに怯える夫を軽蔑するでも見捨てるでもなく、大きな、チャーミングな愛情で包む。

妻でありながら、母親のようでもあり、親友のようでもある。とにかく、絶対的に夫の味方なのだ。

この映画を理解できる、そして共感できるという人は、たぶん、自分の人生に壁を感じたことがあるのではないだろうか。

理想とする「こうでなければ、こうなりたい」という自分があるのに、
能力不足、あるいはコンプレックスのために理想の自分になれない。

努力しているのにできない、情けなくて涙が出てくる、
そして「なんで自分はこんななんだろう」と挫折感を味わい、それでも逃げずに問題に立ち向かっていく、
そういう気持ちが理解できないと、この映画に共感はできないのではないかと思う。

コンプレックスに伴う怒り(コンプレックスを克服できない自分自身に向けてのもの、またはそんなふうに自分を追いつめた周りの状況に対してのもの)もよく描かれていると思った。

ジョージ6世は優しく真面目であると同時に、苦手な状況から逃げずに立ち向かっていく勇気ある人物だと感じた。

多くの観客は、そんなジョージ6世に共感して、映画のラストのスピーチを聞きながら、祈るような気持ちになっていたのではないだろうか。

しみじみと、観てよかったと思える映画だった。

実際のジョージ6世は1952年、56歳で他界した。

その短い人生に心が痛くなると同時に、
生きていく上で持たなくてはならない勇気、自分勝手ではない優しさを教えられた気がした。




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