映画「バベル」(監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、キャスト:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ガエル・ガルシア・ベルナル、役所広司、菊地凛子、アドリアナ・バラッザ 他)を観た。
アカデミー賞で話題になり、「観にいきたい」とは思ったものの、映画を観た人の感想をネットで探してみると、
「おもしろくなかった」
というような否定的な感想が多く、少し躊躇した。
でも「おもしろくない」と思った人が多かったとしても、自分も同じように思うかはわからない。
それにこの映画は、メキシコ(&アメリカ)、モロッコ、日本を舞台にしているのですが、その中の「モロッコ」に心を強く惹かれた。
モロッコといえば、ブライアン・ジョーンズの「ジャジューカ」!
ジャジューカのCDを聴きながら、毎晩眠るという私にとって、モロッコは行ったことはないけれど、とても興味がある国。
ブライアンの愛した国モロッコと、自分が暮らす国日本が描かれている映画……、これは観るしかないでしょう!
前置きが長くなりましたが、そんなわけで観にいってきました。
評判もあまり良くなさそうだし、公開されてから大分経つし、そろそろ打ち切りになっちゃうかも!と焦って観にいきましたが、映画館、ほぼ満席でした。
「バベル」というのは、旧約聖書の創世記に記された街の名前なのだそうだ。
”バベルの塔”は『旧約聖書』の『創世記』11章にあらわれる。
「遥か遠い昔、言葉は一つだった。人間たちは神に近付こうと、天まで届く塔を建てようとした。怒った神は言葉を乱し、世界はバラバラになった」
そして映画「バベル」は、21世紀の今、同じ言語を使う人間同士でさえも、思いを伝え合うことができなくなっている。そんなわたしたちの魂を救おうとするヒューマンドラマ……、だそうだ。
さて、観終わってみて、私は「おもしろくなかった」とは思わなかった。
かと言って「おもしろかった」と思ったかというと……、うーん、この映画は「おもしろい」とか「おもしろくない」とかいう言葉で表現できるものではないように感じた。
「観てよかった」とは思いましたが。
ただ言えるのは、「観ながらワクワクドキドキして、観終わってスッキリ」を求めている方にはオススメではありません。
たぶん観終わった後、「それで?」「だからどうしたの?」「なにが言いたいの?」「結局、どうなったの?」と思ってしまうのではないかと。
”すれ違う思い”であるとか、”言葉が通じないもどかしさ”とか、”言葉にならない苦しさとか辛さ”とか、その反対の”善意”とか、”人間のエゴ”とか、そういうことたちを感覚的に受け止められれば、この映画は大変味わい深いと思います。
善と悪が反対側に位置しているのではなくて、実は同じ場所にあったり。
そのライフルが他のモロッコ人一家の手に渡った。
”遠くを撃とう”という遊び感覚で、一家の少年が遠くから走ってくる観光バスを撃つ。
その銃弾が、バスに乗っていたアメリカ人の女性(夫婦で乗っていた)に命中してしまう。
一方、夫婦が家に残してきた幼い子供たち2人の世話はベビーシッターに任されていた。
どうしてもメキシコで挙げられる息子の結婚式に行きたいと思った彼女(ベビーシッター)は、仕方なく2人の子供たちを連れて、メキシコに向かう。
そしてその帰り道で……、という感じ。
それらの出来事が、それぞれの国で、時間が前後しながら展開されていく。
事の発端となった、ライフル。
これは、よくしてくれたガイドに感謝の気持ちとしてプレゼントしたものである。
ライフルを撃った少年にも「人を傷つけてやろう」という悪意があったわけではない。
メキシコ人のベビーシッターも、「息子の結婚を祝福してあげたい」と強く思って実行してしまっただけで、そこには悪意があったわけではない。
思ったのは、決して悪意ではなかったものが、ふとしたすれ違い、またはちょっとした歪みから、混乱を巻き起こし、悪意に満ちたものに変貌してしまうことがあるということ。
その中では、誰しも心を閉ざしてしまい、お互いを傷つけあうことしか出来なくなり、同じ言語を使っていても言葉は心をストレートに伝えてはくれない。
しかし極限まで行ったとき、殻をかぶっていた「愛する人を救いたい」という本当の気持ちが現れ、やっと心を通わすことが出来るようになる。
ここまでいかないとダメなのか、という人間の愚かさをも描いているように感じた。
気になったのは、日本の描かれ方。
日本に住む日本人として、
「日本って、こんななの??」
って思った。
いえ、そういう一部はあるかもしれないけれど、”日本ってこんなふうなのか”って(映画を観た外国人の方たちに)思われてしまうのは、嫌だな……。
そう思うと、モロッコの様子を観ながら、
「モロッコって、こんな感じなのか~」
と単純に思った私も、間違っているのかもしれません;
(やっぱり実際に行ってみないと!)
ひとつの出来事が悪に転がってしまうのか、善に向かっていくのかはわからない。
一人の力ではどうにも出来ないこともあるでしょう。
でも、自分ひとりの単位でどうにかできることは、なるべく「いい方向」に持っていくようにしたいと、映画を観て思った。
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