「パーマネント野ばら」(原作:西原理恵子、監督:吉田大八、キャスト:菅野美穂、小池栄子、池脇千鶴、宇崎竜童、夏木マリ、江口洋介、他)を観た。

この映画のことを知った時、直感的にたぶん私はこの映画が好きだろうと思ったのだ。

舞台は高知県の海辺の町。

そこにある小さな美容室「パーマネント野ばら」は一人娘を連れ出戻ってきたなおこ(菅野美穂)と、その母親(夏木マリ)が切り盛りしている。

町の女たちは店に集い、恋にまつわるお喋りをする。

なおこの幼馴染でフィリピンパブを経営しているみっちゃん(小池栄子)は、夫の浮気相手を轢き殺そうとする。

同じく、なおこの幼馴染のともちゃん(池脇千鶴)は、男運が悪く、散々な目に遭ってきた。

なおこは高校教師のカシマと恋愛をしているのだが――

観始めてから中盤まで、
「雰囲気はあるけど、退屈な映画だなあ」
と思っていた。

主人公のなおこは真面目で不器用な優等生くずれみたいなキャラクターに思えて、なんとなく鬱陶しかったし、
その他の登場人物たちは、いわゆる様々なタイプの”バカな女たち”に思えて(自分のことは棚に上げて書いてますが)、ストーリーに入り込んでいけなかったから。

ところが、ラスト近くになって、
「うわっ、そういうことだったのか」
って思って、ストーリー全てがつながり、
「観てよかった……、素敵な映画だった……」
って思った。

人間の弱さ、強さ、優しさ、人との関わり方などを見事に描いていると感じたのだ。

私はこの世で大切なのは、”バランス”だと思っている。

アンバランスなのが結局バランスがとれている場合もあるので、私が大切と思うバランスは、”きちんとしたバランス”ということではないのだけれど。

その”バランス”の中に「人との関わりあい方」がある。

誰かと接する場合、どこまで踏み込んでいいのか、どの程度距離をとればいいのか、何を言うべきか言わないべきか。

人は一人では生きていけないとはいっても、べったりと依存しあっているのは違うと思うし、
だけどまるで依存しないでいるのも不自然。

つまり、とっても難しいと思っているのだ。

この映画の登場人物たちの関わりあい方は、絶妙なバランスをとっていた。

それぞれが完璧じゃない。

自分でも自分のダメさがわかっていて、だからお互いに相手のダメさを非難したりしない。

ダメなところも含めて、相手を認めてあげている。

時には気付かないふりをする。

誰かが落ち込んだら、他の誰かがその人の帰ってくる場所になる。

いいなあ、こういう人との関わりあい方、こういう距離感って思った。

それと同時に感じたのは、
女たちの怖いほどのパワフルさ、たくましさ、やさしさ、あったかさ、懐の大きさ。

原作者の西原さんがインタビューで、
「男のかわりはいても、女ともだちのかわりはいない」
また”恋する女性たちへのエール”として、
「仕事をしていれば、女は恋も結婚も離婚もなんでもできる、最後までわがままにいましょうよ」
と語っていて、元気付けられるような気持ちになった。

そうか、そうか、楽しく暮らしていくぞー、って。(笑)

バカっぽくても、みっともなくても、しょーもなくても、
人間って愛おしいな、
って再確認。

広い空を見上げたり、海の風を感じながら思い切り深呼吸したくなっちゃった、
というか、
広い空を見上げたり、海の風を感じながら、ふうっと息をつけたような気分になれる映画でした。




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